介護現場に多い「バーンアウト」対策マニュアル

バーンアウトになる経緯を体験談から紐解く

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バーンアウト体験談

Aさん(男性:元サービス提供責任者)

私は以前訪問介護事業所で、サービス提供責任者として働いていました。サービス提供責任者は、利用者さまによりよいサービスを提供するために、多種多様な業務を担います。ホームヘルパーと利用者さんの連絡調整、スタッフのシフト管理、介護計画書の作成、利用者さん宅への訪問など、やることは山積みです。責任が伴う大変な仕事でしたが、「自分がやらなければ事業所は立ち行かない」という強い思いのもと、プライベートな時間を削って業務に励んできました。
ただ、常に人手が不足しており、労働環境に対するスタッフの不満の声は跡を絶ちませんでした。上層部に伝えても、善処するとの回答があるのみで、状況は何も変わりません。どんなに奔走しても、状況は改善されない、だれからも感謝されないという状況が続き、「こんなに頑張っているのに…」という不満だけが蓄積していきました。仕事への意欲もだんだんと失われていき、緊張の糸が切れてしまったせいか、体調を崩すようになりました。ついには起き上がれなくなり、仕事も辞めることに。友人のすすめで病院を受診し、そこではじめて「燃え尽き症候群」になっていたことがわかりました。

Aさん(男性:元サービス提供責任者)

Bさん(20代:介護職員)

私はとにかく、何事も全力でやらないと気がすまない質でした。もともと誰かの役に立つ仕事がしたくて始めたのが、介護のお仕事です。お仕事は思った以上に大変でした。肉体労働続きで体は常に満身創痍状態で、入居者さんに心無い言葉を投げつけられることもありました。ただ、しんどい分入居者さんから感謝された時はうれしかったし、仕事に対する愛着や誇りも持っていました。休みの日はとにかく体を動かし、ストレスを発散させていました。
自分は上手くやれていると思っていましたが、ある日を堺に夜眠れなくなりました。寝不足からか注意力が散漫になることが増え、仕事でもちょこちょことミスを犯すようになりました。イライラする場面も増え、これまでスルーできていたような入居者さんの言動がいちいち引っかかるようになりました。いつの間にか仕事への愛着や誇りはなくなり、ただ激務をこなすだけの日々になりました。休みの日も体を動かす気にはならず、家で1日中ぼーっとしていました。しまいには過呼吸を引き起こすようになり、これ以上は無理だと感じたので、しばらくお仕事を休業することにしたんです。

Bさん(20代:介護職員)

Cさん(30代:介護職員)

私はあまり自己主張が強い方ではありません。地道に人知れず、コツコツとなにかをこなすのが好きなタイプです。大人しいねとよく言われますが、あまり前に出ず、余計な詮索をしないところを気に入ってくださっている利用者さんもいました。他の人がやらないような仕事も率先して行っていましたが、別に褒められたくてやっていたわけではなかったので、別に苦ではありませんでした。
でも、若くて社交性があるAさんが入職してから、少しずつ何かが変わっていきました。私がやっても誰も感謝してくれなかったことをAさんが少しやっただけで、皆が褒め称えるんです。さすがAさんは気が利くね、とたちまちAさんは人気者になりました。あまり社交性のない私とAさんを比べる人もでてきて、どんどん居心地が悪くなりました。Aさんばかりを褒め、自分の頑張りを認めてくれない周囲に激しい憤りを感じました。何よりAさんには妬みから、きつくあたってしまうことも増えました。仕事へのやる気も消え失せ、言われたことだけをこなすだけの日々になりました。飲酒量が増えて胃腸を壊し、心身ともに限界を迎えていました。ただ一人、私の頑張りを認めてくれていた施設長が私の様子がおかしいことに気づき、カウンセラーに相談することになりました。バーンアウトを言われたときは驚いたと同時に、やっぱりな…とも感じました。

Cさん(30代:介護職員)

環境を変えるのも良い方法